ABOUT
20世紀の前半、神学者ラインホールド・ニーバーが書いたとされる「Serenity prayer(平安の祈り)」という短い詩があります。
この詩はやがて、アメリカでアルコール依存症などの自助グループで用いられ、広く知られるようになりました。
ニーバーは宗教者でしたから神様に向かってこの詩を書いたのですが、その後広まるにつれ、宗教的な意味合いを離れ、人間を超えた大いなる存在への祈りとして、今やいろいろな自助グループのよりどころとなっています。
この人間洞察に基づいた味わい深い詩から、祈りの思いを込めて当ルームの名称をセレニティ・カウンセリングルームとしました。
平安の祈り
神よ、ラインホールド・ニーバー(大木英夫 /聖学院大学学長 訳)
THE SERENITY PRAYER
O God, give us serenity to accept what cannot be changed,written by Reinhold Niebuhr
ちなみに、セレニティ(serenity)という言葉は「うららかさ・落ち着き・静穏」などと訳されています。
もともとは「晴れて、海に波もなく、静かで穏やかな様子」を意味し、そのような落ち着いた心の状態を表す言葉だそうです。
ニーバーの詩と日本語訳では二行目と三行目が逆になっていますが、大木英夫氏が訳した時点で、すでに逆になった詩が広く受け入れられていたためそのままにしたそうです。
実際に心理変化のプロセス等を考えると、「変えることのできるものについては…」と始まり、次に「変えられないものについては…」と続く訳詞の方が、自然で説得力があるように感じられるので、これはこれで良いのかなと思います。
セレニティ(serenity)の言葉を大切にしつつ、変えられることを変えていく勇気と、ありのままの自分を受け入れる落ち着き…そのためのささやかなお手伝いができればと思っています。