ASSERTION TRAINING
過去のアサーション・トレーニングの内容を参考までに載せています。
<11月のキーワード…「向こう側に行かないで!」>
前回(11/1)のアサーション・トレーニングの一端を紙上体験して頂ければと、及ばずながら一部を文章化してみました。 文章での再現は難しいですが、少しはお役に立つかな?
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最初は、いつものように簡単な近況報告やお互いの気持ちの分かち合いから始めていきました。次に最近の職場や日常生活で、 「言いたいのに言えなかった場面」「すっきりしなかった体験」などを話して頂いた後、それらの話の中から、講師がこの日のテーマに取り上げたのは以下の3点です。
①私メッセージ ②自分の気持ちに気づく ③相手がどう思うかではなく、自分がどう感じているかを意識する。この3つの課題を中心にトレーニングしました。
①と②のつながり、そして③のような場面でどのように【私メッセージ】を使うことができるかを、実際の場面を想定したロールプレイで体験していきました。
「本当は自分がどうしたかったのか」「言えなかったのはなぜか」役割を順番に交代しながら気持ちに焦点を当てていくことで、気づくことがいろいろと出てきます。
それをお互いにフィードバックすることで、さらに多角的に自分の陥っていた課題に気づくことができます。
「相手にどう思われるか、どのように受け取られるかが気になってしまい、受け入れられる言葉を探しているうちに自分の言いたいことが言えなくなってしまっていたことがわかった。」
ロールプレイの中で、自分の気持ちの何が言えない原因になっているかにも気づくことができました。では、どうしたら、言いたいことが言えるようになるのか…。
<改善へのアドバイス>
【相手ではなく、自分の気持ちに焦点を当てる】ここがポイントです。
そうすると自分の言いたいことに意識を集中できるので言葉が出やすくなります(一見当たり前で簡単なようですが、実際には瞬時に起きることなので意識化するのがすごく難しいのです)。
そのためには、(自分が)相手の側に行かないで、自分の側から言葉を発することです。もちろん物理的に身体が相手側に移動しているわけではないのですが、言えない時の多くは、目線が相手側から自分を見る目線になってはいないでしょうか?
身体は移動していなくても、意識が相手の側に移動してしまっているのです。向こう側からこちら(自分)を見ている感覚です。この場合の向こう側とは話の相手だったり、自分以外のその場にいる人達のことです。
トレーニングの中では、「向こう側に行っていませんか?」「向こう側に行かないで!(笑)」「自分の気持ちを意識して」と何度も声掛けして自分の位置に戻ってもらえるよう注意を促しました。
「相手の側に行き、相手の目線で自分を見ていませんか?」
「相手の側に立って、なんて言ったらよいか考えていませんか?」
その位置からでは自分が言いたかったことは背後に追いやられてしまい、当初自分の言いたかったことが言葉になりません。ですから、相手の側に行かずに、自分の位置で自分の言いたいことに焦点を当ててみてほしいのです。
そして出てきた思いを、まず一言、率直に【私メッセージ】で表現します。
(言葉で表すのが難しいときは非言語表現という手もありますが、これについてはまた別の機会に)。
そうやってまず一言、言いたいことを率直に表現した後で、相手から返ってきた言葉に対して、返事を聞いて思ったことをまた率直に言葉にすればよいのです。誤解されやすいのですが、コミュニケーションは1回で完結させなければいけないものではありません。お互いを理解するために必要なだけやり取りすればよいので、「まず一言」をあれこれ考え過ぎずに発していくことです。
気軽に、まず一言【私メッセージ】、使ってみませんか? (2020/11/21)
日時: ①2003年6月14日(土) 13:00~16:00
「自分を大事にするための自己表現。」
② 〃 6月28日(土) 13:00~16:00
「相手に思いを伝えるための自己表現」
私たちは日頃、社会の中で他人と自分を比較することを基準に自分を評価したり、自分を表現したりしがちです。特に女性にとって日本の社会では「和」を求められ、自分を表現することが難しい場合も珍しくありません。
しかし本来、自己表現の基本の考え方は、赤ちゃんが泣きたいときに泣くように、誰もが自分が表現したいときに感じるままに表現できるということなのです。
赤ちゃんのように、自分が感じることを気兼ねなく表現できて、またそれを相手に共感的に受け取ってもらえたらどんな気持ちがするでしょうか。
安心して表現できる場所で、そんな体験をしてみることは思いがけない自分への新しい感覚を呼び起こしてくれる貴重な体験である場合が少なくありません。また、自分で自分を評価したり、褒めたりすることも大切です。
ということで、一日目は、褒めことばを送ったり受け取ったりして、自分自身を認めてあげること・また他人への褒め言葉をきちんと届ける練習、そして自己評価のワークを体験します。
褒められるとつい、「そんなことないわよ。・・・」と「言いわけ」や「否定」の言葉になってしまいがちのコミュニケーションを、自分も相手も気持ちよく会話ができ、しかも自己への尊敬が高まる、そんな自己表現の方法を体験する一日目のプログラムとしました。
私たちの自由な表現を妨げる要因にはいろいろありますが、そのうちのいくつかは多くの人に共通したやりにくさがあるものです。
2日目は、そうしたやりにくい場面を改善していくための技法を紹介し、実際に体験していきます。
たとえば、*NOと言う*非礼に対応する*要求する*主張するなどの場面。
こうしたコミュニケーションのトレーニングには、知識もですが、体験しながら覚えることがより大事です。
今現在不自由は感じないと思っている場合でも、もう少し自分を表現してみようかと思ったときに新しい不都合が生じてくる場合があります。
新たな課題です。
しかし、それを乗り越えて自己表現してみると、まったく新しい世界が広がり視界が開けてくるのは、アサーティブな表現の持つ力であり不思議な魅力でもあります。
アサーション・トレーニングの目指すところは、実は自分の主張が相手に届くかどうか以上に、自分がアサーティブに表現することにより、自分自身に対する尊敬と肯定的な感情を持ちうるという体験なのです。
いつものように、2回の講座を通じて、実際に参加者の方が抱えている身近な課題についても取り上げ、ロールプレイその他の方法で体験しながら、楽しく学習していきます。