PAST ACTIVITY
教育誌『いきいきニコラ』2003年No84所収
私は民間のカウンセリングルームで女性の心理相談を担当するかたわら、 「子育て勉強会」(以下、勉強会)を月に一回開いています。 勉強会には最近ではお父さんたちも参加してくれるようになりましたが、毎回熱心に出席されるのはなんといってもお母さん達です。月に一度の勉強会は、一ヶ月分のホンネを解放できる重要な場にもなっているようです。シビアな現実を語りながらも和気あいあいと楽しくやっています。
ここでは、そんな勉強会や個別相談で私が気づいたことを、具体的な例を上げて書いてみたいと思います。 4年前に勉強会を始めて以来、勉強会のテーマの中で、今までに一番お母さん達から共感を持って迎えられたテーマは、「『いいお母さん』から『ラクなおさん』へ」というものでした。このタイトルを見ただけで、うんうんとうなずいてくれた人が何人もいました。
ちょっと勉強会をのぞいてみましょう。 (実際はこんなに矢継ぎ早ではありませんが)
こんなふうに言葉のイメージに焦点を当てながらそれぞれの子育てや日常を振り返ることで、 自分と子どもとを良い意味で距離を持ってみることができるようになります。 密着して一体化してしまいがちの母子関係においてはとても重要なことです。 また他の人のものの見方や考え方を知ることで「そんな考え方もあったのか」と自分の子育てに幅を持たせることができます。 そしてこうして学びながらも、勉強会ではどれが正解でどれが間違いという評価はせずに、お互いを認め合い、ありのままでよいことを体験します。
お母さん自身がちょっと苦しいなと感じたら、まず自分自身が、少しでもいいからラクになること。 それがひいては<子どもにとって>も<家族にとって>も、「いいお母さん」といってよいのではないでしょうか。 お母さん自身が体調不良で頑張れなくて食卓でデレ~っと座っていたりするとき、案外家族が穏やかな空気でいることってありませんか? パワーダウンも時には大事です。 それは子どもでも、お父さんでも、つらいとき・たいへんなときに、「つらい」「たいへんだ」と安心して言える家族をつくります。 たまには「ラクなおかあさん」を体験してみてくださいね。
セレニティ・カウンセリングルーム代表 大本良子