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幼稚園でのいじめ 2004/2
30代夫婦 30代女性C 40代夫婦 60代女性 大本
(当日の内容から主なものを抜粋して掲載)
- 40代男性:
- 幼稚園での「戦いゴッコ」がエスカレートして、体の小さい息子は下敷きになったり、顔を蹴られたりで、危険を感じている。先生達が誰も見ていないときにやられるらしい。それが原因か、幼稚園から帰宅しても、以前のような「ただいま」がない。妻がインフルエンザでうつるといけないので、子どもが僕と寝ているとき、「(幼稚園に)行きたくない。大きい子が蹴ってくる。好きじゃない。」ということで、状況を訴えた。
- 息子は誰にも「言わないで」と言っていたが、こういうつまづいたときに幼稚園の対応は大事だと思うので園に伝えたいと思った。そのためには、妻にも話さなくてはと思い話したが、妻に子どものこうした微妙な心理を分かってもらえるかなと不安ではあった。
- 40代女性:
- 戦いゴッコが好きで楽しんでいたはずが、私が体調を崩して寝ていた間に、18度違った見方が出てきて驚いている。社会に出ればいろんな事があるので、それを乗り越える力をつけてほしい。夫の対応は腫れ物に触るような扱いに思える。
- 40代男性:
- 子どもも、4,5歳になるとプライドが高くなってきて、自分のいじめを人に言うのは難しくなる。やったやられたの関係があるのは分かるが、潜在化しないようにと思う。子どものことはオープンがいいに決まっている。気になりながらも今まで黙ってみてきた。
- 息子が勇気を出して言ったことに対しては、良くできたと褒めた。それは茶化してはいけない。妻がベビーシッターに大っぴらに言ったのは良くなかった。それ以後息子の態度が硬化した。妻には腫れ物に触るような扱いだと言われるが、これはそれとは違う。大事なときなので慎重に対処しなければと思う。
- 基本的には自分も、子どもの力で乗り越えてほしいとは思っている。報道ではよく、いじめられる子どもが周囲に訴えることができず死につながるとも聞く。残された遺書に「お父さん、お母さんごめんなさい」というのは、親に(「がんばれ」と)言われているからだ。子どもが行き詰まったとき、親に言えるような関係を作っておきたい。
- 子どもに「偉かったよ。お父さんはそういうとき、自分は言えなかったけど。」、と言ったら息子は笑った。そのとき親子の信頼関係ができたと思った。これから独り立ちしたときに心配だから、こういうときにきちんと受け取っておきたい。 妻にもここを分かってほしい。
- 60代女性:
- お子さんを呼んで、じっくり話を聞いてあげると良いと思う。特に気持ちを受け取ってあげるようにすれば、それをいやがる子はまずいない。幼稚園で先生が誰も見ていない時があるというのはおかしい。
- 30代女性:
- 私には同じ女性の立場からか、ズーッと子どもを日常的に見てきた母親の気持ちの方に共感できるように思う。
- 大本:
- 母親は出産から子どもに関わってきて、子どもをそうした「流れ」の中で見ていると、父親とはまた違った見方ができるということか。父親はどちらかというと「点」で関わっているので、受け止め方が違うと言うこともありそうだ。どちらの見方が良いということではなく・・・。
- 30代男性:
- 両親が違った見方で、関わっているというのが良いのではないか。両方の視点で子どもを見守ることができる。
- 40代男性:
- この間の行事の日にケガをして帰ってきたが、戦いゴッコをやっている可能性がある。いじめられる方が悪いという言い方もあるが、「いじめ」に対しては、あくまでいじめられる側につかないと問題が見えてこないと思う。
- 大本:
- <資料の説明>「いじめ」の捉え方。子どもの側に視点をおくことで初めて見えてくる。(資料1)取っ組み合いなどの遊びから、自己コントロールの方法(資料2)を学べるよう、できれば幼稚園の指導がほしい。今のやり方で、少し様子を見てはどうか。
- 40代女性:
- 子どもは自分の力をわかったのだからそれはそれでいいのではとも思う。
- 40代男性:
- 誰も見ていない空白の時間があるというのは、預かる側としてはこういうことはあってはいけない。子どもの最終的なサインと単なるぼやきとは違う。子どもの場合、体の大きさは絶対的な力の差になる。
- 大本:
- 大事なことは、とにかくお子さんがお父さんに言いにくいことを言えたと言うこと。そしてお父さんがそれを褒めてくれて、お父さんとお母さんが自分のことで一生懸命に心配してくれているとわかったこと。
- おそらくこれからもお子さんは安心して話されると思う。他にもっと良い方法があったかと心配されるのも分かるが、すべてを自分たちで完璧に解決しなくてよい。これからもお子さんが何か言ってきたら、聴いてあげて、その時できることをご夫婦で協力してやってあげればよいのでは。
最後に、ここ(セレニティ)での「分かち合い」に通じるインディアンの儀式-パイプセレモニー-についての資料を読む(資料3)。人に聴いてもらうことの大事さを改めて感じる。
資料1:「才能ある子のドラマ」アリス・ミラー 新曜社 P116~P123
資料2:「男の子ってどうしてこうなの?」スティーヴ・ビダルフ 草思社
P99~P101
資料3:「イーグルに訊け」天外伺朗・衛藤信之 飛鳥新社 P47~P5
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